> |工藤晴也壁画造形|モザイク|工藤晴也|東京藝術大学|: コンセプト

コンセプト

 
 

壁画は、表現素材が建築物と一体化したところに特質があり、その場と呼応する表現が求められる美術である。

ラスコーやアルタミラの洞窟壁画のように壁画は有史以前から存在し、人類の長い歴史の中で各時代固有の特色を示してきた。メソポタミア文明の都市遺跡にみられるように、古代より都市の人々の生活と壁画は密接な関係にあったが、その姿をよく示しているのが古代ローマの都市遺跡である。公共建築物や住宅の床はモザイクや板石の装飾、壁にはアフレスコや漆喰レリーフが描かれ、日常の生活環境は美術にあふれていた。私は壁画やモザイクを研究する中で古代ローマの美術から多くのヒントを得てきた。そこには素材の特質を遺憾なく発揮する洗練された技術と素材へのこだわりがあり、それが作品の質を支える大きな力となって表れている。2000年の歳月に耐えるモザイクの堅ろう性は、永遠の絵画と称される所以であり、表現と構造と建物の三位一体の関係は、様々な意味で絵画の基本形としてとらえることができる。それは壁画という絵画表現の理想的な姿であり、現代においてなお多くのヒントを内包するものである。壁画にかかわらず作品を創ることは、過去にとらわれない新しい発想や時代を見通す先見性も時には必要であるが、一方で温故知新、つまり古いものに内在するエッセンスを引き出す本能的な感性やその意味を読み取る能力も芸術家には必要である。作品の持つ普遍性とは、古い、新しいという枠組みを超えたところに人の感性を揺り動かす力がある。

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展覧会・シンポジウム報告
モザイクの真実
副題:世界遺産ガッラ・プラチディア廟モザイクの保存と修復
 
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